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空はどこまでも青かった。
西から吹く風が飛沫をデッキへと高く舞い上がらせる。
例年ならこの時期は最低でも3kgクラスのイナダが数本は
釣れているはずなのだが、この日は違っていた。
少しばかりのナブラは全て小型のサバばかり。
朝焼けに映える水面をざわつかせている。
鳥は一向に見えず、茶けた鳥が
ただ奔放に、ただ優雅に 定置の上空を旋回している。
魚探に映るのはボトムに定位する僅かな反応。
魚影が見えない。
見えないのでは
狙っている獲物の影すらも追えない。 「鳥山もナブラもないから俺の勘でポイント選択するしかなさそうだ」
キャプテン濱氏の勘。
予想が的中した
当日同船したハンター事塩津氏が
フォーストバイトをモノにする。
数分後、凡そ12ポンドクラスのワラサが
デッキに打ち上げられる。
5分後。
スロージャーク気味にアクションを繰り返していた最中
突如ロッドが水面に引き込まれた。
瞬時ロッドが撓り
ベイトリールから徐々にラインが引き出される。
「鉄ジグの水平アクションがフォールを長くするから
その通りだった。
数分後、これも又2ポンドクラスのワラサが
デッキに打ち上げられた。
今期初のワラサ。
続けて同船者も続々とヒット。
船中は俄かに盛り上がりを見せるが
それも刹那の事。
どこまでも風が心地よく
どこまでも雲は壮大で
どこまでも海は雄大で
どこまでも空は青かった。
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